Nepalese Story  跡継ぎ試験
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Written only in Japanese.
頁:デザインMr.6 1997年8月5日作成
------- Stories translated from Nepalese folk tale books. -------
民話のようなたわごとのような

パ〜ルのお話

制作・翻訳 美珠和文化研究会 BISHUWA Culture Committee
題字画 明石六郎 / E-mail oichni06@ingnet.or.jp

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第7話 跡継ぎ試験
挿絵 明石六郎

Rupiyan phalne rukh(金の成る木)より
1994年6月翻訳 1997年6月掲載

 昔々、ある国に王と三人の王子がいました。
 三人の王子はそれぞれ国王となるのにふさわしかったので、王は誰にあとを継がせたらよいかわかりませんでした。大臣たちを集めて相談したところ、彼らは皆違った意見でした。それで、王は誰の意見も採らずに全然別のことを考えました。ある日、王は三人の王子を呼んで、お金のいっぱい入った箱を一つずつ渡しながら言いました。
「息子たちよ、これを持ってそれぞれ別の国へ旅に出よ。おまえたちの中で誰が一番立派に成功して帰ってくるか、私はそのものに王位を譲ろうと思う。」
 王の考えに従って、ふたりの兄の王子たちは思い思いの国へと出かけて行きました。そこで大きな商売を始めることにしたのです。しかし末の弟はいろいろ考えあぐねたあげく、どこの国へも行けませんでした。彼はあちらこちらと国境の辺りをうろついていました。そんなとき王子は、思いがけなくひとりの行者に出会いました。王子はひと目でその行者が優れた考えをもった聡明な人であると気付き、その行者のそばにとどまりたいと思いました。行者も王子を自分のそばに置くことにしました。二人は国を治めることについてしばしば語り合い、その話の中で王子は、父王が自分たち兄弟を旅に出したことも話しました。王子のことばや行いや人格の気高さに感心した行者は言いました。
「王子よ、行くがよい。町で手に入るだけの米を買ってきなさい。おまえの持っているお金はみんな米に換えてしまいなさい。」
 末の王子は、行者が言ったように自分の持っているお金で買えるだけの米を買って来て、その袋を積み上げました。つづいて行者はこう言いました。
「王子よ、行くがよい。近くの池にこの米を全部持って行って投げ込んでしまいなさい。」
 その言葉に従って王子は何日もかかって米を全部池に運び、投げ込みました。

 やがて、城へ戻る時がやってきました。そのときになって王子は悩み始めました。父が持たせてくれたお金を何の役にも立たないことに使ってしまい、今や自分には一銭のお金も残っていないのです。
「ふたりの兄さんたちは、おそらくたくさんの財産をつくってきていることだろう。それに比べて私は何というざまだ。手ぶらで帰ると人々は何と言うだろう。私はこの屈辱にどう耐えようか。なんという愚か者だろう、私は。」
 さまざまな思いが王子を一層悩ませました。行者は王子の様子を見て全てのことを悟り、言いました。
「おお、王子よ! おまえはあの池へもう一度行きなさい。城に帰るのはそれからにするがよかろう。」
「はい、そうします。」
 王子は答え、行者に別れを告げました。

 さて一方、王子が池に米を投げ込んだとき、魚の一群がそこに来ていたのでした。魚たちはその米を魚の王のところへ運んだのです。
 魚の王は毎日米を食べることができて大変喜びました。やがて米がなくなったある日、魚の王は言いました。
「あれはいったい誰だっだんだろうな、我々にいつも米を食べさせてくれた人間は。私はこのことを嬉しく思っていたのだ。おまえたち、その人に何のお礼もしてないのだろう。皆で宝石や真珠を捜してきて、その人間の所に置いて来るのだ。」
 それで皆は持てるかぎりの宝石や真珠をその米が投げ入れられた池の岸に積み上げました。ちょうどそのときです。王子が浮かぬ顔をして池の畔へやって来たのは。



 王子が目にしたものは光り揮く宝石や真珠の山でした。彼の喜びは大変なものでした。
 やがて王子はその場所に座り込むと、たくさんの泥団子を作りはじめました。そして泥団子の中に宝宕を埋め込みました。それらを荷車に乗せ、城に向かいました。
 城にはもう、ふたりの兄がたくさんの金銀財宝を持って掃って来ていました。その様子を見ようと、大臣たちや町の人たちが大勢、賑やかに集まっていました。
 そんなときに末の弟が城に着いたのです。末の王子はたくさんの袋を運んできたのですが、それがすべて泥の団子だとわかると王は大変失望し、人々はただあきれるばかりでした。
 ところが末の王子の表情は明るく、周りの人々の顔を見渡しました。そして、泥の団子を壊すようにと指示をしたのです。ある大臣が最初にひとつの団子を壊してみました。光り輝く宝石と真珠が、そこに現れました。皆あっけにとられてしまいました。そのようにして、全ての泥団子を壊すと王宮には宝石の山ができました。王はその宝石や真珠の価値がどれ程のものか調べさせました。調査官は王宮の財宝と国中の富の四倍の価値があることを告げました。これを聞いて王は喜び、末の王子をしっかりと抱き締め、言いました。
「息子よ、私は心の中でこのようなことがあったらと夢見ていたが、おまえはそれを現実のものとしてくれた。おかげで今、私は限りなく嬉しい。さあ、約束通りおまえに王位を譲ろう。」
 王はその後すぐ、末の息子を自分の後継者とすることを国中に知らせました。そして息子は王になると、沢山の米を買って、宝石や真珠を手にいれた池にまいてやりました。するとまた、魚はお礼に宝石や真珠をたくさん持ってきました。
 こうしてたぐいまれな富を手に入れた新しい王は、幸福に満たされ、国民も皆そのことを祝いました。




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